ミニコミ「葬」が、書籍『葬式プランナーまどかのお弔いファイル』になるまで その1

奥山晶子著『葬式プランナーまどかのお弔いファイル』が、文藝春秋より8月25日に発売になりました。宮川は編集を担当しました。


この本は、著者奥山さんがひとりで作っていたミニコミ誌「フリースタイルなお別れざっし 葬」から派生したもの。
「本にしませんか」と奥山さんにお声かけして約2年、こんな立派な姿になって...と感慨深くなっております。
本の内容について詳しく紹介をとも思いましたが、制作途中のさまざまを振り返り、せっかく始まりから刊行まで参加したので、このミニコミがどのように書籍になっていったかを記録しておきたいと思います。

「葬」に初めて出会ったのは、2010年5月の文学フリマ。実はここのブログでも書いていて、「葬」のブースも撮影していたのでした。〈これは収穫だった!フリースタイルなお別れ雑誌『葬』〉と、キャプション書いてます。小説の同人誌、批評誌が大半のなかで、実用誌しかも葬儀、というのは突出して新鮮だったのです。見た目のサブカル感があっても。

一緒に行った知人とも、これはいいよね、と蒲田で餃子を食べながら盛り上がり、その勢いでそのあとさほど間を置かずに「葬」発行元宛にメールしました。「本にしませんか?」と。

我ながら怪しい行動ですが、いつも始まりはこんなかんじです。わりとみなさん不審がらずに会ってくれて、ありがたいことです。奥山さんもすぐに返信してくれました。そのとき初めて彼女も出版社勤務ということを知り、書籍化に興味はあるが自社では出せないこと、自分で執筆と編集両方することが気になっていたことなどを聞くことが出来ました。そこから、どういう形なら本にできるか、自分だけに書けるのはどんな内容か、などなどを詰めていったわけです。

その頃は「終活」という言葉が出てきたり、葬式でぼったくられるな、みたいな言説が浮上したりという時期。島田裕己『葬式は、要らない』が売れたり(「葬」も言及されていた)、やや追い風的な機運もあったけど、だから逆に他とのちがいを打ち出すにはどうすればいいか考えました。
そうしたなかで、「だいたい自力でやりたい人のための」「やや下流葬」「手づくり葬」というコンセプト、具体的に1人の主人公をたてて、親の葬儀を四苦八苦しながら遂行する姿を描く、という見せ方があがってきて、これを着地点にしようと決定。サンプル原稿、企画書を用意して、出版社に持ち込む準備を始めました。最初のタイトル案は「だいたい自分でやる葬儀」。「ほぼ葬」って呼んでました。

版元は、著者が出したいところにまずオファー。ツテはなく、正攻法です。このときは最初の担当者の反応がよく会議にあげてもらいましたが、その段階でNG。次に興味を持ってくれそうな知人編集者にお声かけし、お二人めで直接打ち合わせ。そこで前仕事をした雑誌編集部の方が、たまたま葬儀関係の企画がありライターを探しているとのことで奥山さんを紹介し、4ページの記事を書くことになり、その流れからなのかノンフィクション部の方につながり、めでたく文藝春秋で刊行の運びとなりました。企画をスタートして約半年。かなり順調でした、ここまでは。つづく。